JSMB Bulletins, No.1, 5, 2024

CIJK2023参加報告
山本奈央(Nao YAMAMOTO)(Arizona State University)

 2020年1月から2023年5月までアリゾナ州立大学で博士課程に在籍していましたが、コロナ禍とかぶってしまったため、ほとんどの学会がオンラインでした。オンライン学会では発表を聞くことはできたものの、人々との直接的なネットワーキングの機会は途絶えていたため、ポスドクとしての新しい道を探る直前に、渡航援助を受けてCIJK International Conferenceに参加できたことは、とても喜ばしい出来事でした。
 学会ではGeneral session でネットワークを組み込んだPDEモデルについて発表しました。発表後はPDE研究の発展やその応用についてDr. Yuan Louやその他の多くの研究者と深い議論を交わしました。Dr. Louとは、アジアとアメリカの研究環境やキャリア形成の違いについてもお話しさせていただき、今後の進路について考えるうえで大切な見識を得ました。また、以前からロールモデルとして尊敬しているDr. Eunha Shimの日本におけるHPVワクチンの費用対効果の分析についての発表を聴講し、発表後はワクチン勧奨中止期間に接種できなかった人たちへのキャッチアップ接種プログラムや男性への接種の費用対効果について議論しました。フォローアップメールにも返信を下さり、研究とキャリアパスに関する相談にも快く乗るとおっしゃってくれました。Soongsil Universityへの訪問の招待も受けました。
 中国、韓国、日本で活躍する北海道大学時代の同僚との再会も学会での重要な経験 でした。彼らのコロナ禍での活躍を聞くことで、感染症数理モデルが今後もさらに発展していくと感じることができました。
 この学会は専門的な議論だけでなく、ロールモデルからの励ましや同僚との再会など数理生物の分野で活躍する研究者との有意義な交流も深めることができる重要な経験でした。国際的に活躍できる研究者への道のりはまだ長いですが、この学会はその一歩となったと感じます。
 黒澤さんをはじめ、日本数理生物学会の皆さん、渡航支援に心より感謝いたします。

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