JSMB Bulletins, No.1, 6, 2024

CIJK2023参加報告
笠原剛樹(Gouki KASAHARA)(東北大学生命科学研究科)

6月27日から7月1日までの5日間、韓国の済州島で行われたCIJK2023に参加させていただきました。

私はこれまで海外へ行った経験も対面学会の経験も国際学会への参加経験もなく、初めて尽くしの学会参加となりました。行く前は本当に韓国にたどり着けるのか、他の方の英語の発表を理解できるのか、うまく英語で研究内容を伝えることができるのかなどたくさんの不安を抱えていました。

関西国際空港で迷ったり、SIMカードが購入できなかったり様々なトラブルがありましたがたくさんの方々に助けていただいて何とか韓国にたどり着くことができ、学会が始まりました。

学会ではたくさんの発表を聞かせていただきました。背景知識を持っていない研究の話は理解が難しかったですが、多くの発表を興味深く聞かせていただきました。特に印象に残ったのは時系列からgeneral baseモデルを使用した因果検出手法の研究と、時系列からネットワークの経路の数を推定する手法です。前者は自分がよく使っているCCMなどの因果の推定手法と比較して様々な利点・欠点がありとても興味深かったです。後者は遺伝子ネットワークに着目した研究で、自分は生態系ネットワークを扱っているため、他分野のネットワーク研究と生態学のネットワーク研究の差異を感じることができ勉強になりました。

また対面学会だったこともあり、本の中や画面越しでしか知らない先生方や、他研究室の多くの同期学生とコミュニケーションを取ることができました。自分が研究室に配属されたのがコロナ禍直前だったためこのような機会が少なかったこともあり、貴重な経験となりました。

自分の発表も初めての英語での、そして初めての対面での学会発表ということもありとても緊張していました。しかし自分の研究に多くの方が興味を持ってくださり、たくさんのコメントをいただけたことで自信やモチベーションアップに繋がりました。

この学会へ参加するにあたり、普段からお世話になっている研究室の皆さんや、シンポジウムに誘ってくださった瀬戸さんをはじめとした多くの方に支えていただきました。特に、日本数理生物学会からの渡航補助がなければ今回の学会には参加できていません。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今回得ることができた経験を活かして成長していければと思います。

JSMB Bulletins, No.1, 5, 2024

CIJK2023参加報告
山本奈央(Nao YAMAMOTO)(Arizona State University)

 2020年1月から2023年5月までアリゾナ州立大学で博士課程に在籍していましたが、コロナ禍とかぶってしまったため、ほとんどの学会がオンラインでした。オンライン学会では発表を聞くことはできたものの、人々との直接的なネットワーキングの機会は途絶えていたため、ポスドクとしての新しい道を探る直前に、渡航援助を受けてCIJK International Conferenceに参加できたことは、とても喜ばしい出来事でした。
 学会ではGeneral session でネットワークを組み込んだPDEモデルについて発表しました。発表後はPDE研究の発展やその応用についてDr. Yuan Louやその他の多くの研究者と深い議論を交わしました。Dr. Louとは、アジアとアメリカの研究環境やキャリア形成の違いについてもお話しさせていただき、今後の進路について考えるうえで大切な見識を得ました。また、以前からロールモデルとして尊敬しているDr. Eunha Shimの日本におけるHPVワクチンの費用対効果の分析についての発表を聴講し、発表後はワクチン勧奨中止期間に接種できなかった人たちへのキャッチアップ接種プログラムや男性への接種の費用対効果について議論しました。フォローアップメールにも返信を下さり、研究とキャリアパスに関する相談にも快く乗るとおっしゃってくれました。Soongsil Universityへの訪問の招待も受けました。
 中国、韓国、日本で活躍する北海道大学時代の同僚との再会も学会での重要な経験 でした。彼らのコロナ禍での活躍を聞くことで、感染症数理モデルが今後もさらに発展していくと感じることができました。
 この学会は専門的な議論だけでなく、ロールモデルからの励ましや同僚との再会など数理生物の分野で活躍する研究者との有意義な交流も深めることができる重要な経験でした。国際的に活躍できる研究者への道のりはまだ長いですが、この学会はその一歩となったと感じます。
 黒澤さんをはじめ、日本数理生物学会の皆さん、渡航支援に心より感謝いたします。

JSMB Bulletins, No.1, 4, 2024

CIJK2023参加報告
和田彩美(Ayami WADA)(静岡大学大学院総合科学技術研究科)

私は今回渡航補助をして頂き、初めての国際学会CIJK2023に参加することが出来ました。6月27日から7月1日までの5日間、韓国の済州島で開催されました。静岡大学からは私と他に1人の2名が参加しました。この経験は私にとって非常に貴重で、多くの新しい体験と学びを得ることができました。

学会では分野ごとに4つに分かれ発表が行われたり、ポスター発表が行われました。私は空間点過程に対応する格子SISモデルについての発表を行いました。発表内容はHamada&Takasu論文の空間点過程に対応する格子モデルを考え、シミュレーション結果をペア近似と平均場近似で比較を行うというものでした。学会では英語でのプレゼンテーションだけでなく、質疑応答も英語で行う必要がありました。初めての経験でしたので、最初は手こずりましたが、質問者たちは非常に理解しやすい言葉遣いで質問してくれ、私は精一杯伝えようと努力しました。結果として、緊張感を乗り越えて質疑応答を成功させることができました。英語のスキル向上と自信の向上は、学会参加の大きな成果でした。

やはり私の研究の元となった高須先生にお会いでき、発表を聞くことができたことがとても印象に残っています。

学会を通して新たにできた友人たちと交流できたことも大切な経験となりました。異なる国々から来た方達と研究の内容を説明し合い、新たな発見がたくさんありました。彼らの異なるバックグラウンドから、私の研究に対する新しい視点とアプローチを得ることができ、これは将来の研究において非常に価値のあるものになりました。

例えば、個体の生死や移動を考慮した場合のシナリオをイメージしやすくなり、研究の深化に向けた方針を見つけ出す手助けとなりました。学会での議論や新たな友人たちとのアイデア交換は、非常に興味深いものばかりでした。

島の風景や地元の料理を味わいながら、新しい友人たちと共に過ごした時間は、忘れられない思い出となりました。

総括すると、済州島での国際学会参加は私にとって充実した経験であり、学問的な成長だけでなく、人間的にも成長させてくれました。また今後の研究の目標に向けて、新たなエネルギーとアイデアを持ち帰ることもできました。機会があれば次回の学会参加を楽しみにしています。

JSMB Bulletins, No.1, 3, 2024

CIJK2023参加報告
林 息吹 (Ibuki HAYASHI)

京都大学理学研究科修士課程2回の林息吹です。この度は、The 8th CIJK Conference(以下、本会議)への参加に際し、日本数理生物学会から渡航支援を頂きました。渡航支援に関して、選考委員・諸手続きに関わってくださった方々へお礼申し上げます。私は、6/27から7/1の期間で本会議に参加し、その中で、6/29に行われました瀬戸繭美さんが主宰するミニシンポジウムにて、発表させて頂きました。ミニシンポジウムに誘って下さった瀬戸さんにも、この場を借りてお礼申し上げます。

本会議は私にとって、初めての国際学会であるだけでなく、自身が発表する初の対面学会でした。コロナ禍の只中に研究室へ配属された事もあり、対面での発表経験が乏しい中で初の国際学会を迎え、出発前は多くの心配事がありました。しかし実際に行ってみると、興味深い数々の発表、済州ならではの美味しい食事、それに親切な先生方のフォローや、同期との打ち解けた会話もあって、非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。

私は、細菌叢の実験的な制御を研究テーマにしているため、これまで数理生物学にはあまり触れる機会がありませんでした。そのため参加前は、各発表について、もう少し自身の研究との遠さを感じるだろうと考えていました。しかし、実際に発表を聞いてみると、自分が想像しているよりもデータ解析・実証研究に寄った話題が多く(時系列因果推論やEarly warning signalなど!)、Model drivenの数理生物的研究の視点と合わせて、大変多くの学びを得る事が出来ました。会場で聞いた、新鮮な興味深い数々の手法や考え方を、数理生物を学びながら咀嚼しつつ、今後の糧としたいと考えています。

そして何よりも、本会議に参加した事で、様々な方とコミュニケーションをとる機会が得られたと感じました。これによって、研究内外の新たな視点が得られただけでなく、自身の研究に対するモチベーションが大きく向上しました。改めてになりますが、このような機会を下さった日本数理生物学会には大変感謝しております。高まったモチベーションを今後の自身の研究にぶつけ、より一層励みたいと思います。この度はありがとうございました。

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